生き抜く営業手法

見積の出し方や基準、押さえておくべきポイントについて

    見積書を作成するということは、「この案件に対してこの金額で対応させて頂きます」ということを宣言する、とても重要な作業です。見積書の作成は事業主の生命線であり、見積書の作成を甘く考えていると、忙しいだけで利益が薄くなってしまうという、負のスパイラルに陥ってしまう要因になります。

    ここでは見積の出し方や基準、押さえておくべきポイントについて書いてみます。

    自分の価値は?

    自分の価値の基準をどのように決めるべきでしょうか。事業主は決まった給料があるわけではないため、簡単に考えると、稼ごうと思えば稼げるし、何もしないと稼げない。そのため、まずは1ヶ月=約20営業日、1日8時間ほど自分が稼働した時の単価を設定してみると、ひとつの基準が見えてきます。

    人月/人日/人時

    見積を作成するときによく使われる単位で「人月」「人日」「人時」という表現があります。文字通り、それぞれ「1ヶ月あたり」「1日あたり」「1時間当たり」の単位で、例えば「1人月80万円」であれば、1ヶ月=20営業日の稼働で80万円、ということになります。

    注意点として、人月は1人月=30日ではなく、営業日を基準として1人月=20日という考え方が一般的であることに注意しましょう。人日も同じように1人日=8時間、もしくは休憩を考慮して実働7時間というのが一般的です。

    以下は職種別の人月/人日/人時の単価例です。必ずしもこの範囲内でなければいけないわけではありませんので、あくまで例としてご覧下さい。

    人月/人日/人時の単価例

    • デザイナー
      • 人月:40万~80万
      • 人日:2万~4万
      • 人時:2,500円~5,000円
    • マークアップエンジニア
      • 人月:40万~80万
      • 人日:2万~4万
      • 人時:2,500円~5,000円
    • フロントエンド/バックエンドエンジニア
      • 人月:60万~100万
      • 人日:3万~5万
      • 人時:3,750円~6,250円
    • SE
      • 人月:80万~120万
      • 人日:4万~6万
      • 人時:5,000円~7,500円
    • ディレクター
      • 人月:60万~80万
      • 人日:3万~4万
      • 人時:3,750円~5,000円
    • PM
      • 人月:80万~160万
      • 人日:4万~8万
      • 人時:5,000円~10,000円

    工数の出し方

    これらのような人月/人日/人時を単位として算出する数字を「工数」と表現します。例えばランディンページを1ページ制作した場合を例としてみます。デザインに丸3日、修正依頼の対応を考慮してあと1日とする場合、「デザイン:4人日」とします。同じように、コーディングが2日程度で出来そうなら「コーディング:2人日」とすると、合計で6人日となります。

    この例で、自分の人日単価を3万円とした場合、3万円 x 6人日 = 18万円が、ランディングページ制作の見積となります。

    工数算出の工夫

    上記のように工数を考えると、「早く出来た方が損」と感じることもあるのではないでしょうか。デザインはともかく、コーディングは同じデザインで対応した場合でも、人によって1日で終わる人もいれば、3日、もしくはそれ以上かかる人もいます

    そのため、工数はある程度の「感覚値」も必要です。上記のようにランディングページと一言で言っても、ボリュームがどの程度か、レスポンシブはPCとSPのみで良いのか、アニメーション等の演出はどの程度あるのか、といったことを考慮して、「自分なら1日で終わるけど、2日かかると言っても問題なさそう」といった感覚値をもって、工数を算出することが重要です。

    このように調整することで、「早く出来た方が得」になっていきます。もちろん品質の担保は大前提ですが、他社より良く早く出来るからといって、工数も自分目線で少なくし過ぎてしまわないように、注意しましょう。

    工数算出のバッファを持つ

    工数を算出するときに「3時間くらいあればできるかな」という対応があった場合、人日換算だと0.4人日程度の見込みとなります。ただ、全てにおいて正直に工数を出してしまうと、何か実装に詰まってしまった時などに困ってしまう可能性があります。そのような時のために、例えば0.5人日としておくなど、少しバッファ=余裕をもって見積提案することも重要です。

    緊急対応、土日祝日対応、深夜対応

    人が避けるような依頼も、状況に応じて「特別感」を出しながら受けることは、取引としてとても重要です。例えば22時から5時の深夜時間と呼ばれる時間帯は、労働基準法でも深夜手当として25%以上の割増賃金を支払うという決まりになっています。そのため、まず深夜対応が必要になった場合は、堂々と通常の見積単価に25%以上を上乗せして、上乗せした分を「深夜対応費用」として見積提案しましょう。

    • 人日3万円で深夜時間帯に4時間の稼働が必要な場合の例:
      • 0.5人日=15,000円
      • 深夜対応費用=3,750円
      • 合計=18,750円

    その他、「今すぐ何とかしてほしい」「土日祝日の間に対応してほしい」といった依頼の場合、深夜時間帯と同様に、25%以上の対応費用を通常の単価とは別項目で上乗せし、「特別価格」で見積提案することが重要です。

    また、このような依頼の場合に発注側から「もう少し安くならないか」といった価格交渉をされた場合、筆者の経験としてはお断りした方が良いと考えます。本当に緊急度が高ければ、予算よりも依頼内容が完了することの方が重要なはずです。それなのに価格交渉される場合は、おそらく緊急性はそこまで高くなく、何とかなる状況のはずなので、こちらが無理をして対応させて頂く必要はありません。

    許容できる範囲であれば多少の歩み寄りは良いと思いますが、価格交渉されるくらいなら、休み明けに通常単価と納期を基準に見積提案を出させて頂いた方が健全だと思います。

    値引きは最後で良い

    「大阪の価格交渉は半額から始める」というネタとも本気ともとれる表現がありますが、見積提案において、一度は価格交渉が入る前提で見積を提出した方が良いでしょう。「ちょっと高すぎるかな」と自分で感じる見積でも、根拠をもって工数をしっかり算出していれば、遠慮なく提出しましょう。

    冒頭に自分の価値基準として人月/人日/人時のことを書きましたが、この基準は発注側であるクライアントによって価値観が大きく異なります。工数感も同様ですが、IT業界に精通しているかどうかに関わらず「単価高くないですか?」「なんでこんなに日数かかるの?」といった観点で交渉されることもあります。

    単価については過去の実績や案件に必要なスキルセットなどを根拠として、工数は具体的に必要な対応をなるべくクライアントに伝わるよう提案する等として、まず提案する見積の数字の根拠をしっかり伝えることが重要です。

    値引きするにも理由が必要である

    根拠をしっかり伝えたうえで、それでも価格交渉の過程で何かしらの理由をもって「値引きする」ことはよくあります。ただし、値引きするには必ず理由が必要です。例として以下のような内容があります。

    値引きの例

    • 端数を安くするだけなら「出精値引」として、別項目でマイナスにする
    • 工数を少なくするなら、相応の機能削減を提言する
    • 単価を下げる場合は、「今回だけ」ということを念押しする

    実際に見積書を作成する時の項目について

    ホームページ制作やシステム開発で見積書に必要な項目のポイントについては、こちらの記事にまとめていますので、宜しければご参考として下さい。

    まとめ

    • 自分の価値基準を「人月/人日/人時」で考える
    • 工数を出すときは「早く良い仕事が出来た方が得」になる前提で考える
    • 緊急対応や土日祝日、深夜対応は「特別対応」と考える
    • 値引き交渉がある想定として考える

    冒頭に書いた通り、見積書の作成を甘く考えていると納品までにかかる工数が肥大化し、結果として売上に対して多くの時間をとられてしまう=利益が圧縮されてしまうことに繋がります。そのため、単価と工数の基準をしっかり持ち、見積書を作成しましょう。

    以上、見積の出し方や基準、押さえておくべきポイントについてでした。

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