ミニマム経営手法

事業の存続に大きく影響する「事業計画」について

    月々の作業に追われて事業計画がおろそかになっていませんでしょうか。「一人でやっていくから計画なんてなくても良い」というのは大間違い。事業計画を作成することで、自身の事業を客観的に捉え、中長期のことを考えたり、ブランディングを考えたりするきっかけにもなります。どんな規模でも、事業主であれば事業計画を目に見えるかたちで作成した方が良いでしょう。

    この記事ではそんな事業計画について書いてみます。

    事業計画を書かないといつか破綻する

     エンジニアとして出向していたり、請負で開発案件をまとめたり、事業の基盤はいろいろあると思います。しかしながら、今後5年10年と、同じように手が動くでしょうか。ある日、突然事故にあってしまったらどうすれば良いでしょうか。ミニマム経営だからこそ、自分以外にも仕事を委託して進行できる環境づくりも重要です。この場合、「自身で動く案件」と「外注に委託する案件」のバランスを考慮した計画が必要になります。

    また、限られたクライアントからの受注に依存してしまっている場合についても、危機感を持つべきです。そのクライアントからの受注が無くなった時のことを考えて、定期的に新規クライアントを獲得できるように動く計画が必要になります。

    事業は同じことの繰り返しも大切ですが、計画なく繰り返し続けていると時間の経過とともに継続が困難になる場合があります。事業計画を書くことでその状況にいち早く気付き、対策を事前に検討するきっかけになります。

    金融機関や投資家との会話には必要不可欠

    「融資を受ける予定はない」「投資家と話すような機会はない」このように考えるかもしれません。しかし、出資/融資を判断する立場の人は、事業計画の内容から継続性や将来性を判断します。これらのような人に納得してもらえ、出資/融資を出しても良いと判断してもらうことは、客観的にみて継続性や将来性のある事業であると認めてもらったという意味にもなります。

    このような観点で、特に開業/創業時は融資を受けてみた方が良いと考える記事がございますので、宜しければご一読ください。

    また、同じ事業主や経営者と話すような場で、「今後の事業展開はどのように考えていますか」といった話になることはよくあります。そのようなときに「なんとなく今の延長線上で」というような内容よりも、「〇年後までにこういったことを検討している」というような具体的な内容が含まれていた方が、相手に信用を与えられるでしょう。

    事業計画に必要な内容 

    事業計画には様々な項目がありますが、ここではよく盛り込まれる項目を書き出してみました。

    ミッション、ビジョン、バリュー

    「将来的にこのようなことを実現したい」「そのためにこのような事業をしている」「弊社が提供できる価値はこれです」といった内容を、それぞれ言葉にして表現します。内容は各社様々ですが、比較的短い表現でまとめることが多いかと思います。それぞれ下記のように定義されています。

    • ミッション
      恒久的に変わらない企業の存在意義
    • ビジョン
      中長期的に達成したい目標
    • バリュー
      達成の手段

    ミッション、ビジョン、バリューを書き出してみると、自身の事業方針が具体的になり、その方針に向けた思考に切り替わるきっかけにもなりますので、是非考えてみることをお勧めします。

    事業概要、事業ドメイン

    自身の軸となるコア事業や派生事業を含め、事業内容を簡潔にまとめた「事業概要」と、事業領域である「事業ドメイン」を言葉にして表現します。

    例えばコア事業が「システム開発」だとすると、派生事業として「エンジニア教育」といったことがあるかもしれませんし、「エンジニア派遣」といったこともあるかもしれません。

    事業ドメインは「Customer(顧客)」「Technology(技術)」「Function(機能)」の3軸で検討することがよくあります。例えばシステム開発であれば「受託で主にPHPの言語でアプリケーション開発を提供」、エンジニア教育であれば「PHPエンジニアに対してアプリケーション開発教育を提供」といった内容になります。

    強み、特徴、競合、将来性

    自身の事業に特異性があるか、安さが売りなのか技術が売りなのか、人間関係で受注が安定しているのか、技術が廃れていなかいか、といった内容を言葉で表現します。人間性で言う「個性」のような内容と考えるとわかりやすいと思います。

    例えば技術に着目してみましょう。PHPエンジニアだとした場合、得意とするフレームワークは何か、そのフレームワークの需要や将来性はどうか、といったことを調査して言語化してみましょう。また、技術に関しては「掛け合わせ」がとても重要です。フロントエンドの対応、サーバーOS/ミドルウェア等のインフラに関する知見、実績のあるDBなど、複数の技術が掛け合わさることで個性として強みになるでしょう。

    ここで注意すべきことは「器用貧乏」にならないよう意識することです。「何でも程よくできる」は「何も強みが無い」という印象になりかねません。あくまで「軸となる強み」を忘れずに、掛け合わせも考慮して、自身の事業の強みを言葉で表現しましょう。

    収支計画

    請負でも準委任でも、月末締め翌月末入金といった「売掛」、外注先に対しては「買掛」が基本になります。そのため、少なくとも半年程度は収支計画を書き、受注・納品・請求・入金のサイクルを把握しておくことが、健全な経営に繋がります。

    複数の案件を並行して進めていると、受注や請求を何かしらで管理するかと思います。自身が管理しやすい方法で、収支計画は常に管理するようにしましょう。

    1年、3年、5年、10年を考える

    IT業界は変化が速すぎるから数年後なんて考えても意味がない」と考える人もいるかもしれません。しかし、変化が速すぎるからこそ、常に数年後を見据えた想像をし、変化があれば数年後の計画も変化させていくような柔軟な計画性が重要です。

    例えば私自身の事例ですと、「HTMLやCSSのコーディングは無くなるのでは」と考えた時期もありました。しかしWordpress等のCMSが主流になる流れで、フロントエンド担当者もバックエンドの知識を吸収することでコーディングの領域が広がることを感じました。APIを利用したウェブサービスも増えてきていた中、組み込みの方面での強みを模索することで、近年のReactやVueといった「フロントエンドとバックエンドの分離」という案件にも繋がるようになりました。

    また、別の角度では「アニメーションの多様化」も需要が高まりました。HTML+CSS+JSでの表現力が高まる中、アパレルブランド等のウェブサイトにおいて、ハイレベルなデザインと共に「動き」が積極的に取り入れられるようになってきました。

    近年ではブロックチェーン技術の活用により、新たなプラットフォームが構築されつつあります。仮想通貨、ゲーム、NFTといったキーワードが目立つため「自分には関係ない」と考えるかもしれませんが、今後はコンテンツを分散型ファイルシステム「IPFS」に配置し、「NFTドメイン」でウォレット兼ログイン情報として利用する、といったことが普通になるかもしれません。

    既存事業は継続しながら、常に最新の情報を追いつつ、常に数年後を想像し続けることが、IT業界で生きるためには重要であると考えます。

    経営革新計画について

    ここまで事業計画についての重要性を書いてきましたが、新規事業の企画がある場合、「経営革新計画」のチャレンジをお奨めします。

    経営革新計画とは『中小企業が「新事業活動」に取り組み、「経営の相当程度の向上」を図ることを目的に策定する中期的な経営計画』とされています。新しい事業に対する事業計画を作成し、承認を得ると日本政策金融公庫等で低金利の融資を受けられるといった優遇対象になります。

    書類も多く、承認率1割と言われるこの経営革新計画の申請は、専門家に委託する企業が多いです。ただ、私は自分自身で申請してみることをお奨めします。

    というのも、申請窓口の方が親身になって事業計画に対して壁打ちして頂ける(担当者の個人差はあるかもしれませんが)ので、自分自身で申請してみることで「経営者に求められる事業計画」の作り方が鍛えられます。私自身、10回ほどの修正を経て申請に至り、無事承認して頂いた経験があり、それにより自分自身の事業計画に対する自信にも繋がりました。

    ここで重要なことは低金利融資等の優遇ではなく、「経営革新計画で承認されるような事業計画を作ることが出来る」ということです。新規事業の企画がある場合は、机上の空論で終わらせず、是非経営革新計画」にチャレンジしてみて下さい。

    まとめ

    事業計画を作るということは、自身の事業を客観的に捉え、自身の事業の強みや方針を明確に認識することに繋がります。また、言葉として表現することで周囲にも伝わりやすくなり、ブランディング向上にも繋がります。

    以上、事業の存続に大きく影響する「事業計画」についてでした。

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