自身が事業主である一番の強みは「時間をコントロールできること」にあります。会社員ではなかなかコントロールが出来ない出退勤の時間や休日も、事業主であれば自由にコントロールできるはず。しかし、気が付けば土日祝日や深夜時間帯も仕事に追われてしまっている、という状況に陥る可能性もあります。
この記事では「時間のコントロール」に焦点をあててまとめてみました。
「営業日」という表現に徹する
まず基本的なことですが、1週間は7日間あれど、稼働する日数としては基本的に平日の月曜日から金曜日=5日間です。土日はもちろん、祝日も含めてカレンダーの休日は事業主としても休日であるため、WBSでスケジュールを整理する際も土日祝日は工数として含めず、「営業日」のみを工数の対象としてスケジュールを組みます。
この「営業日」という観点は忘れないように、必ず意識するようにしましょう。
基本的な就業時間を決める
就業時間という管理が無いことが事業主の利点という考え方もありますが、「事業主なんだから時間関係なく仕事してくれるんでしょ」という理不尽な対応を求められることがあります。もちろん場合によっては土日祝日や深夜時間帯も仕事をしなければ終わらないような場合もあるかと思いますが、重要なのは「基本的な就業時間を決める」という事です。
例えば平日9時~18時を自分の就業時間と考えた場合、この時間内のみ仕事をする前提でスケジュールを組みます。クライアントに提示されたスケジュールを前提に調整するわけではなく、自分の就業時間と見込み工数を前提にスケジュールを提示するように努めることで、仕事の向き合いにゆとりができ、予定より早く完了すれば早く報告するなど、クライアントに与える印象も良くなっていきます。
もちろん「それなら他に依頼します」と言われて受注できない状況が続いてしまうと本末転倒ですが、自分の就業時間を前提にクライアントをコントロールする意識はとても重要です。
平日夜の「明日までに」という連絡と、休日前の「月曜日までに」という連絡には反応しない
日々のクライアントとのやり取りの中で、夕方18時頃に「今日中にこれお願いしますね」と言われたり、金曜日の夜に「これを月曜午前までにご対応頂けますか」といった連絡を受けたこと、ありませんでしょうか。もともと決められていた予定に間に合っていないなら当然対応する必要がある内容ですが、突発的に起きたことやクライアント側の要因による連絡不備、という内容の場合、どのように対応すべきでしょうか。
私の主観が強いですが、このような連絡は代理店に多い印象で、「こちらの稼働時間を考慮してもらえていない」と感じてしまいます。そのようなご連絡を頂く代理店からの案件は順調に進むことが少なく、クライアントコントロールが出来ていないしわ寄せが技術者側にくる場合が多いように感じます。
そのため、私はこのようなご連絡を頂いた場合、「本日はこのあと対応出来ませんので、翌営業日に確認後ご連絡させて頂きます」といった内容や、翌営業日の朝一番に、「いま確認させて頂きましたので、このあと対応させて頂きます」といった内容で進めさせて頂くようにしています。
これには理由があります。私も過去にはこのような連絡に対して極力、言われた内容とおり対応してきました。しかし、金曜日の夜のうちに対応して報告をしても結局、相手からは月曜日になってから「確認しました」と連絡を頂くこともしばしば。これではこちらが疲弊するだけになってしまうと感じ、確認と対応を翌営業日とするよう意識を変えるようにしました。
「夜間や休日にメールやチャットなどを送信しない方が良い理由」という記事を書いていますので、こちらもご参考として読んでみて頂ければ幸いです。
1日の時間配分について
基本的な就業時間を意識したうえで、次に重要なのが「1日の時間配分」です。極端な話、1日中ずっと作業に追われてしまうと、次の案件受注のための営業、企画提案や見積等の資料作成、収支管理などが後手になってしまい、経営に支障が出てしまいます。
毎日必ずこの配分で、という意味ではなく、あくまで意識を持つということが重要で、メリハリを持つことで効率を上げるということにも繋がりますので、是非ご参考としてご確認下さい。
その日に必ず終えなければいけない業務を、なるべく午前中に終わらせる
報告しなければならない作業のまとめ、確認が必要なメール、振り込みなど、その日のうちに必ず終えなければいけない作業は、なるべく午前中で終わらせるように意識します。この意識を持つことで、午後を作業以外の時間として使えるようになりますし、たとえ午前中で終わらなかった業務があっても午後で巻き直せます。
午後は、やった方が良い、もしくは営業や事務などの時間に充てる
午前中でその日の業務が済んだ場合、午後は「やった方が良いこと」の時間に充てるよう意識します。新規案件獲得のための提案資料作成や見積整理といった業務もとても重要で、しっかり向き合うと1時間2時間と結構な時間を要します。稼働中の案件と未来の案件を並行して管理することは事業主の重要な仕事です。そのためにも、毎日夕方や夜まで作業に追われないよう、時間をコントロールする意識を持つことが重要です。
夜は各々の優先度に応じた時間に充てる
家族とのコミュニケーション、お酒の席でクライアントや同業者とのコミュニケーション、新しい技術を習得するための時間など、夜は各々の優先度に応じた時間に充てることが重要だと考えます。もちろん短期的に夜も作業に徹することが必要な場合もあるかと思いますが、恒常的に夜も作業している日々が続いている場合、スケジュール調整や時間配分を見直す必要があるかと感じます。何故かというと、毎日夜まで作業が必要なほどひっ迫してしまうと、夜でも終わらなかった作業が深夜や土日に食い込んでしまい、まったくゆとりの無い状況となってしまうからです。
深夜/早朝は各々の効率が良い行動を
夜行性の人、長く寝たい人、早起きの人など、深夜/早朝の行動は人によって様々かと思います。この時間帯で重要なことは「効率」です。夜行性の人は深夜、早起きの人は早朝にやりたいことをやると効率が良いこともありますし、長く寝たい人は無理に早起きせず毎日8時間でも寝ることで、日中の効率が良くなる人もいます。
前項と関連しますが、この時間帯まで作業が必要な状況にならないよう、注意しましょう。
土日祝日はしっかり休む
事業主=24時間365日つねに仕事に向き合う必要があるかと言うと、決してそうではありません。クライアントに対して「土日祝日は稼働しておりません」と伝えることは当然のことで、趣味に没頭するなり買い物をするなり、しっかり休むようにすることはとても大切だと思います。
「休む」という定義は人それぞれですので、仕事を忘れる=休むという人だけとは限りません。ブログを書いてみたり、事業計画を練ってみたり。平日には出来ない、仕事に関連することをすることも、気持ちに負担がなければそれも「休む」に含まれると思います。
ただ、繰り返しになりますが、「作業」を恒常的に土日祝日に持ち込まないよう意識することは重要であると思います。
時間がない=お金がない=余裕がない、と見られてしまうという事を意識する
「時間」「お金」「余裕」、この3つの要素は連動しています。分かりやすい例として、旅行があります。
例えばゴールデンウィーク真っ只中に2泊3日で旅行を計画した場合と、ゴールデンウィーク明け2週間後くらいの平日のみで2泊3日の旅行を計画した場合で考えてみましょう。宿泊先や宿泊プランを全く同じにしても、料金が圧倒的に違うでしょう。また、他の旅行客も少なく、アトラクションで遊ぶにも移動するにもスムーズなため、余裕をもった行動が出来ます。余裕があるため使える時間も多くなり、同じ2泊3日の旅行でも内容に大きな違いがあります。
また、平日に旅行に行くような人がいると、少なからず「余裕がある人だな」という印象を受けるのではないでしょうか。
「そんなことは分かっているけど、平日に旅行なんて行ってられない」と思うかもしれません。旅行はあくまで例えですが、「この期間は対応出来ません」と各所に伝えることで時間を作ることが出来るような状況であれば、周囲が徐々に「余裕がある人」という印象を持つようになると思います。
余裕がない人には案件を依頼しづらい
これは特に私のような一人親方を含む事業主、個人事業主、フリーランスといった方に該当しますが、案件を発注する側からすると、「余裕がない人には案件を依頼しづらい」という心理があります。
常に忙しそうで、いつ寝ているのかわからない人に対して、まず感じるのは「この人が倒れたらどうしよう」といった身体的な不安です。どれだけ技術や実績があっても、個人で動いている以上、ある程度の余裕が周囲に伝わらないと、この不安は拭えません。
そして結果として、余裕がない(ように見える)人には、小規模案件や代わりの人を見つけやすい案件のみ依頼し、数ヶ月~1年規模の案件は別会社に依頼する、といった流れになってしまうことが多いと考えます。
無理の無い範囲で、時間とお金の余裕を意識する
「とりあえず平日に旅行してみよう」といった極端なことをする必要はありません。業務は滞りなく進めつつ、家族との時間や趣味の時間が充実していたり、新技術を追求する時間があったりすることで、「周囲から見ると」公私のバランスが取れているように感じ、周囲から余裕がある人に見えてくる=安心感につながるという事を、まず意識することが大切だと思います。
忙しい、と言い過ぎるのは危険
無意識のうちに「バタバタしてまして」「最近忙しくて」といったことを口に出してしまっていないでしょうか。「忙しい」という発言をする側としては、暇だと思われたくなかったり、そもそも本当に忙しかったりと、様々な心理があると思いますが、「忙しい」という言葉を聞いた側の心理を想像してみましょう。
例えば発注側であるクライアントが、あなたの「忙しい」を聞いたときに、「忙しいなら他の人に依頼した方が良いかな」という考えがよぎり、機会損失に繋がる可能性があります。これは前述の「余裕」に関する項目と同じ心理であると考えます。
まとめ
時間のコントロールがうまく出来ず、時間に追われているという意味で「忙しい」と表現するいう人に対して、特に経営者は前向きな印象を感じません。発注側であるクライアントも、余裕が無い人に対しては不安を感じます。何より時間をコントロール出来ないと、家族や恋人、友人など身近な人との時間も取りづらくなり、関係値の悪化にも繋がりかねません。
事業主は、時間をコントロールすることが、安定に繋がる重要な要素であると考えます。もし作業に追われてしまう時間が多いようでしたら、少しずつでも「時間をコントロールする」という意識を持つことで、相手に「余裕」が伝わり、より良い仕事に繋がるのではないかと思います。
タイムマネジメントについて、こちらの記事も併せてご覧ください。
以上、事業主にとって時間のコントロールが重要である理由でした。










